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お店をつくる人々 Peops

交換日記から始まるホワイト企業化。
洋菓子店ケー・サヴールの「継続と革新」

パティスリー ケー・サヴール
オーナーシェフ/宇佐川善久さん

公開日:2026年8月6日

ホワイト企業へ近づく第一歩は、
“自分を整え、学び続ける姿勢” から

「去年のバースデーケーキ、何号でした?」 常連のお客さまのひと言で、顧客履歴がまったく残せていなかったことに気づいた宇佐川さん。
そこで導入を決めたのが“お菓子専用レジ”。誰が・いつ・何を買ったかが一覧できるようになり、接客中の戸惑いはかなり減ったようです。

また昨冬は、そのレジデータを手がかりに商品回転率を検証し、クリスマスケーキをホールケーキのみに絞ってみることにしました。結果として売上はおおむね横ばいでしたが、仕込みや片づけの効率は大幅に向上。残業はほぼゼロになり、冷凍庫まわりの電気代も軽くなりました。カットケーキをやめたぶん、年末年始に体力を温存できてスタッフの疲労感は目に見えて減ったといいます。

そんなふうに減らした分だけ、時間と体力が戻ってくる。
大胆な仕組み替えで、今まで見えなかった課題にも光が当たるようになります。

挑戦のハードルは、案外自分の中に立てているのかもしれません。百貨店から出展の打診を受けたときも、最初は「できない理由」を紙いっぱいに書き出しました。ところが先方に「これなら出せますね」と背中を押され、逃げ場がなくなると「じゃあ、やってみようか」と一歩を踏み出せた。取り組んでみれば必ず何かを学び、終わるころには視界が少し広がっている――そんな経験を積み重ねてきたと言います。

新しい試みには「始めどき」と「やめどき」の見極めも欠かせません。8年間ほどやり切ったら次へ移る、というサイクルが店のリズムになりつつあります。節目では反発や人の入れ替わりが起こることもありますが、風通しが良くなるたびに組織は軽くなるようです。

10人いれば10通りの考え方があるため、マニュアルだけで完全に縛るのは難しい。
愚痴で終わらせるか、学びに変えるかで日々の質は大きく変わる――宇佐川さんはそう感じています。
年齢を重ねても順応力と素直さを保ち、「わからないこと」は率直に尋ねる。まず自分自身を整え、その背中で職場の空気を整えることが、ホワイト企業への第一歩につながるのかもしれません。

大きな窓のある厨房からは山と空が一望できます。
天気を眺めながらリフレッシュし、ショーケースも一目で確認できる――そんな景色も“働きやすさ”を支えるひとつの要素になっているようでした。

取材の終わりに、宇佐川ご夫妻は私にこう尋ねました。「うちの店に、まだ足りていないものは何だと思いますか?」
学びを止めないその姿勢に、
自然と頭が下がりただ敬意を抱くばかり。
私自身も、その問いの答えをもう少し探してみたくなりました。

贈る相手が自然と想像できるギフトづくりに、思わずあれもこれもと手が伸びてワクワク楽しいお買い物体験ができました。ありがとうございました。

ご協力いただいたお店

Patisserie K.SAVEUR
パティスリー ケー・サヴール
https://ksaveur.com/
店舗情報
〒731-0143
広島県広島市安佐南区長楽寺1丁目22-18
TEL:082-872-8121
営業時間:10:00~19:00(月曜日定休)
  • photo:
    Teppei Koizumi

  • text & edit:
    Miwa Hirozawa