
交換日記から始まるホワイト企業化。
洋菓子店ケー・サヴールの「継続と革新」
パティスリー ケー・サヴール
オーナーシェフ/宇佐川善久さん
公開日:2026年8月6日
困りごとが、いつの間にか
新しい形を呼び込む

クリスマス、お正月、ハロウィン…。
イベント前になると店じゅうのディスプレイを夜な夜な総入れ替えし、スタッフは皆、最後には肩で息をついていました。その様子を見つめながら、宇佐川さんはぽつり。「もう、こんな大掛かりは控えたほうがいいかもしれないね」

2022年以前はクリスマスからお正月の装飾の入れ替えは大変だった。
2022年からディスプレイは『太陽樹林』さんにお願いすることに。
ちょうどその頃、インスタグラムでビビッと目に留まったのが、ドライフラワーをつかって素敵なブーケやスワッグを紹介していた『太陽樹林』さんの写真でした。
「ケー・サヴールの世界観と重なる気がする…」
そう感じた宇佐川ご夫妻はすぐにDMを送り、打ち合わせまであっという間に決まっていきました。
はじめてお会いしたとき、私たちの要望を丁寧にくみ取ってくださり、仕上がった試作品は期待を大きく上回るものでした。ドライフラワークリップやドライフラワースワッグを合わせたラッピングは、お菓子を食べた後も思い出に残る贈りものになり、お客様の満足度が高まりました。それを機に店内装飾のほとんどをお願いする流れになり、以来、ケー・サヴールには“森にいるような雰囲気”が定着しつつあります。

帯紙の角スレ →「ポストカード」で
ロスをほぼゼロへ

以前は箱ギフトに巻く帯紙の角が擦れて破れることがしばしばありました。「ムダを減らせる方法はないか」――そうして浮かんだのが帯紙の役目も果たすポストカード。ポストカードならあとで使えるし、かわいいから集めたくなる。そんなプラスの要素が加わり 角スレによるロスはゼロに、資材コストは1個あたり30 円下がりました。ポストカードは季節に合ったデザインに衣替えをして、お客様の目にはいつ訪れても新鮮に映り、季節感を味わっていただけるように工夫しています。

安田女子大学の学生さんと地元資材会社による公募コンペがきっかけで、若い感性がはじける新たなイラストが誕生し、学生さんからイラストレーターが誕生しました。右上の写真は以前の帯紙の頃。

銅版画家の千葉真弓さんに描いていただいたポストカード。
カゴ高騰の悩み →
「紙トレイ+1点もののドライフラワーブーケ」で解決

近年値上がりが続くカゴは保管スペースも悩みの種でした。折りたたみ式の紙トレイに1点もののドライフラワーブーケを添えるアイデアを試したところ、持ち帰りやすさに“飾る楽しみ”が加わり、お客さまからは「選ぶワクワクが増えた」と好評。在庫スペースもコストも大幅に軽くなったそうです。

こうして店を俯瞰しながら「今、足りていないものは何だろう」と探していると、問題がアイデアの種へと姿を変えていく――宇佐川さんはそう感じています。
日常にヒントがあふれている

30年前、旅館に掲げられていた「宿泊者の手書きボード」を参考に考案したという店頭のA面ボード。今では多くのケーキ屋さんで見かけるこの仕掛けも、異業種を観察する中からヒントをもらった例のひとつだそうです。
ラッピング専用ルームがあります
以前は接客をしながらラッピングしていましたが、混み合う時間帯はどうしても仕上がりにムラが出がちでした。そこでラッピングする部屋を用意し専任スタッフを設けることに。その結果、ラッピングのクオリティが上がり、お客様の満足度も上がっていきました。やはり、いいものを届けるには集中できる環境づくりが大切だと感じています。





