お店をつくる人々 Peops

心地よい会話が咲き、まちが色づく。
人と花を無限大に結ぶ〈Hanamari〉25年の物語。

Hanamari(花まり)オーナー・フローリスト/中川 麻里子さん

公開日:2026年6月18日

「お店には毎日、小さなドラマが生まれている」
Peops(ピープス)は、そのドラマの語り手を訪ね
情熱と想いの源泉をそっと掘り起こしてきました。

創業25年。秋田県能代市に、何でも気軽に相談できる花屋があります。
「花まり」オーナーのフローリスト・中川麻里子さんと、弟で相棒の荒川秀樹さん。
スタッフと合わせて7名で本店と2号店を行き来し、同時にブライダルや葬儀花、ワークショップや出張イベントが重なるときでも軽やかにこなしていきます。そのストイックさに、スタッフたちはいつしか彼女を“鉄の女”と呼ぶように。

麻里子さんが絶対に譲らないのは、お客様とのおしゃべりの時間。
「お客様とのコミュニケーションが一番大切。どんなときも対話だけは削らないんです」

植物の香りがふっと漂い、麻里子さんの朗らかな笑い声が重なる心地よい店内で、
25年間、お客様に選ばれ続ける理由を探りました。

取材にご協力いただいた人

中川 麻里子 さん
Hanamari(花まり)オーナー/フローリスト
短大で国文学を学んだのち、実家の花店で修業。県内外のフラワーアーティストに師事し、2001年『Hanamari(花まり)』を開業。同年、女性起業家大賞を受賞。2011年には2号店をオープン。2003~2022年「秋田県花の祭典」「東北大会」などで、フラワーアレンジ/ブライダルブーケ部門あわせて延べ20回以上入賞。現在は2階フロア『花っCOラボ』で、月2回のワークショップや野外イベント、出張レッスンを精力的に開催。異業種とのコラボを通じ、“花とふれあう時間”を街のあちこちで生み出し続けている。

日々の対話が育てる、ゆるぎない信頼

――能代でも屈指の来店客数を誇る花店〈Hanamari(花まり)〉。
夏は麦わら帽子、冬はベレー帽がトレードマークの麻里子さん。遠目からでも「あ、花まりさんだ」と分かるほど、お客様に親しまれています。(帽子をかぶっていない時は顔バレしないそう)朗らかな笑顔とともに、季節の花を毎日届け続けて25年。
変わらぬ人気を支えてきたのは、ただ一つ。
「お客様とのコミュニケーションをやめない」という、麻里子さんの揺るぎない姿勢でした。

3つの母の日コースに、“もうひとさじ”の気遣い

今年の母の日予約は3パターン5種類。中でも定番コースを3つお作りしました。
①『THEママ』定番の赤+ピンク明るくかわいいお母さんをイメージして
②『フレッシュ・ママ』オレンジ系で元気で明るいお母さんの笑顔をイメージして
③『キュート・ママ』水色+ピンクでいつまでも若々しいお母さんをイメージして

予約に来られたお客様とのひとこま。
「母は赤色が大好きなので『THEママ』にします!」と嬉しそうに言いながら、写真を指さしたお客様の一言を麻里子さんは逃しません。「大好きだったら、もう少し赤いお花を多めにしましょうか?」
その提案に、お客様の目がぱっと輝きました。母の日の繁忙期は予約通りのアレンジをお作りするのが通常ですが、対話から生まれる“もうひとさじ”でオンリーワンのアレンジギフトに昇華します。
贈り手の想いと、受け取る方の笑顔を結ぶ――麻里子さんのおもてなしの核心です。


即興のサプライズブーケ

取材の日、麻里子さんは今日の私の服装や、会話から野草や薬草に興味があるという趣味を聞き出し、手を止めることなく花を選び、数分でブーケを束ねてくださいました。
「廣澤さんのイメージでまとめてみました」差し出された一束には、私の“好き”がぎゅっと詰まっていて思わず「めちゃステキです!」と声がもれました。
ここでも光っていたのは、小さな対話から生まれる温かな気遣いでした。

『なんでも相談できる花屋』であり続けるために

イベント装花や葬儀、出張レッスンが重なり、どうしても手が離せないときはシャッターをいったん下ろすことがあります。それでもお客様がいらしたら、作業を続けながら優しくお声がけ。「中でゆっくりご覧くださいね。呼んでいただければすぐうかがいます」

取材の日も裏口から常連のお客様が三人。この日は定休日だったにも関わらず、お断りすることなく普段通りの笑顔で接客する麻里子さん。お客様は思い思いのお花を選んで笑顔で帰って行かれました。
「うちのお客様はみんな優しいんです」朗らかにほほえむ麻里子さん。その表情には、25年分の“小さな対話”が宿っているようでした。
日々のお客様との温かなやり取りは、2階のコミュニティスペース『花っCOラボ』へと広がり、さらに大きな“人と花を結ぶ物語”を紡ぎはじめました。

指名殺到の“まりフォント”

メッセージカードに添える手描き文字――通称〈まりフォント〉。筆ペンで描く柔らかなタッチが評判を呼び、「カードは麻里子さんの字でお願いします!」とご指名をいただくほどの人気ぶりです。

日々のお客様との温かなやり取りは、2階のコミュニティスペース『花っCOラボ』へと広がり、さらに大きな“人と花を結ぶ物語”を紡ぎはじめました。