
変化を楽しみ、幸せを創るパイオニア
エネルギッシュに行動し続けるプティ・アシェットの物語
Petit Assiette(プティ・アシェット) マネージャー / 田中 和歌子さん
公開日:2026年3月17日

「お店には毎日、小さなドラマが生まれている」
Peops(ピープス)では、様々な分野で活躍する人々の情熱や想いに迫ります。
今回ご登場いただくのは、
田中ご夫妻が 30 代で立ち上げた洋菓子店「Petit Assiette(プティ・アシェット)」。
2025 年 9 月に創業 25 周年を迎えたこのお店は、
働き方改革への挑戦、企業理念の浸透、スタッフ育成など、日々進化を続けてこられました。
パティシェマネージャーであり、スイーツデザイナーであり、そして経営者としても、エネルギッシュにお店を率いる和歌子さん。その歩みや挑戦、そして根底にあるあたたかな優しさ。
和歌山・橋本市の “ 地域一番店 ” として走り続けるプティ・アシェット。
その輝きの秘密をこれから紐解いていきます。
取材にご協力いただいた人

- 田中 和歌子 さん
- Petit Assiette(プティ・アシェット) マネージャー
- 1970年和歌山県生まれ。辻製菓専門学校卒。
卒業後大阪の洋菓子店を2軒経験し、途中1年間ホテルやレストラン、デザート喫茶など、掛け持ちのアルバイト生活。その後職場が一緒であった主人と結婚し、3年ほど主婦生活。30歳で主人と共に実家である和歌山県橋本市にて娘が4歳の時独立。以降25年間ずっと厨房に立ち続けています。
店舗運営、イベント、商品企画、教育、オーダーケーキ担当。
変化と挑戦──
働き方改革から生まれた新しいお店のかたち

いまから 5 年前、創業から 20 年目を過ぎたある日――
お店はありがたいことに右肩上がりで成長を続けていました。
けれど、ふと立ち止まって自分たちの暮らしを見つめなおしたとき、
「スタッフも自分たちも、気づかぬうちに “ 衣食住 ” を楽しむ余裕がなくなっていた」
と感じたのです。繁盛の裏側にあったのは、
「一番大切なことが、置き去りになっていないだろうか?」「このままでいいのか?」
という葛藤でした。
夫婦で何度も何度も話し合い、自問自答の日々。
「これからも長くお店を続けていくために、
“ 働き方 ” そのものを見直そう」と、
「変化する勇気」を持って新たな一歩を踏み出しました。

お店として大きな決断だったのが、生ケーキの種類を思い切って絞ったことです。
生ケーキは売上の約7割を占めていましたが、どうしても製造にはたくさんの手間と時間がかかります。そこで、ショーケースの段数を3段から2段に減らし、生ケーキの追加生産も15時ごろまでにして、それ以降はできるだけ控えるようにしています(ただし状況によって対応することもあります)。ケーキが少なくなってもショーケースが寂しくならないように、追加しやすくて廃棄が少なく、利益率の良い商品を工夫して並べています。
もうひとつの大きな変化は、週休二日制の導入です。
「スタッフの健康や笑顔があってこそ、お店がまわる」
まずは、自分たちが “ 心と体の余裕 ” を持つことが大切だと考えました。
1 日だけのお休みでは仕入れや仕込みで終わりがち。本当にリフレッシュできるのだろうか?
「体を休める 1 日、心を休める 1 日――。
連休があれば旅行にも行けるし、しっかり休めるから、また頑張れる」
営業日数は減りますが、スタッフの健康と幸せを最優先する。そう決断しました。
もちろん、生ケーキの種類を減らすことや週休二日制への不安はありました。
でも「お客様が本当に求めていることは何か」「どんな商品が喜ばれるか」
原点に立ち返って見つめ直せば、まだやれることがきっとある。そう信じて進んできました。
実際、働き方改革を始めてから「前にあった、あの生ケーキはもう作らないんですか?」
といったお声も届き、ケーキの種類が減ることで満足度に響くこともあります。
だからこそ「どうしたらもっと喜んでもらえるのか」と向き合い、ケーキ作りだけでなく、売り方や発信の大切さを感じていたことから、SNS投稿や販促を担当する専任スタッフを新たにお願いすることにしました。そうした役割が加わったことで、今はとても助けられています。
これまでは製造と販売の2部門体制で、スタッフの担当を変えることもなかったのですが、新しい役割を設けたことで、新しい形で活躍できる場が広がっています。
ケーキの種類を増やすだけでなく、“ 工夫して進化し続ける店 ” でありたい――。
日々、そんな想いで取り組んでいます。


もうひとつ、特別な取り組みがあります。
これまで特注ケーキの注文は、店の片隅でオーダーシートを書いていただいていました。
改装を機に「ANNIVERSARY ルーム」という特別なスペースをご用意しました。
これまでお作りした記念日ケーキの写真を飾った空間で、
お客様と一緒にワクワクしながら「どんなケーキがいいかな」「どんなお祝いにしようかな」と、ご注文自体を楽しんでいただける時間が生まれました。
「還暦祝いにケーキ、つくってもらおうかな」
「こんなに可愛いケーキ、記念日に頼んでみたい!」
そんな会話が生まれる特別な空間です。
お客様の大切な日々を思い描く “ きっかけ ” になればうれしい。
私たちのお菓子が、誰かの人生のワンシーンにそっと寄り添う存在でありたい――。
そんな想いが、少しずつお店の新しいカタチとして実を結びつつあります。
お客様のご要望を伺ってデザインするオーダーケーキ。スイーツデザイナー和歌子さん作。




