vol.119繁盛店、二代目社長の悩み

和・洋菓子店のＡ社を訪問しました。
ここは、本店の隣に製造工場を構え、従業員数は約400名、店舗数は約25店舗。
商品は、フレッシュケーキや焼菓子、紅白まんじゅう、お赤飯など幅広く、地元では知名度が高い繁盛店です。
進物・贈答用では、銘菓を詰め合わせた「箱もの」を数多く取り揃えています。
価格帯は2,000円・3,000円・5,000円あたりが中心でしたが、5年ほど前から弊社のラッピンググッズをご利用いただき、800円・1,000円・1,500円ほどのプチギフトの販売を開始。
当初は試験的な部分もありましたが、翌年にはプチギフトの売上が10倍になり、その翌年にはさらに3倍。
地元のお客さんの潜在的なニーズに応えたカタチになっています。
潤風満帆に見えるＡ社ですが、2019年に社長に就任した二代目さん（先代の親族ではない）は、スタッフについて悩みを抱えていました。
やりがいや満足度が低く、「なんでこんな会社に入ったんやろ」と口にする社員さえいたそうです。
私にも離職率の高さに関する「黒歴史」があるので、悩む気持ちはよくわかります。
その社長が2年前、小林秀司先生の本を手にして考え方が変わったそうです（私の黒歴史を塗り替えてくれた、あの小林先生です）。

先代の時代は、人口が増加傾向にあり、作ったものも比較的売れやすく、拡張・拡大が企業の成長の証でもありました。
働き方は、長時間労働の終身雇用が当たり前。
ですが、時代はすっかり変わって人口は減少傾向にあり、働く人の意識も変わりました。
働く人の気持ちを二の次にした繁栄は、砂上の楼閣のように危ういものかもしれません。
Ａ社の二代目さんは、先代が築いてきた繁盛店を守るための「売上主義の経営」を改めて、スタッフと家族、仕入先さんとその家族まで「人を大切にする経営」にシフトしたそうです。
そこから徐々に社内の雰囲気が好転し、新たな成長の道を歩み始めています。
今回の話は、二代目社長だけでなく、どの経営者にとっても参考になるのではないでしょうか。

◆こぼれ話◆

売上主義を改めたことで、お客さまへの接客が「自社商品のセールス」から「お客さまの探しものを手伝うスタイル」に変わり、結果的にお客さまの満足度も上がったそうです。
Ａ社は、「クリスマスケーキの予約目標を減らして定時に終了」「元日は休業」を次の目標に掲げています。
家族と一緒に過ごしたいというスタッフの気持ちに応えるための挑戦ですね。