vol.110商品やお客さまを絞り込む

７、８年前、大阪の中心地にある花屋さんを訪問しました。
40代の男性が営む個人店です。
弊社の商品をネットで購入してくださっていたのですが、訪問するのは初めてです。
中心地と言えども、賑わうエリアからやや離れた場所にありました。
10坪ほどの店内を見回すと、品ぞろえの幅が広く、良く言えば「幅広い客層に対応」、悪く言えば「無難で特徴がない」という雰囲気です。
その後このお店は客層を絞り込み、メンズ向けのフラワーショップへ方向転換。
プロポーズ用の100本のバラをはじめとして、メンズならではの品ぞろえに特化し、ネットでも全国から注文が来るお店になっています。
また、職場のムードが明るく、働いている人が楽しそうです。
あれっ、なんだか、うちの会社に似てる？（笑）

この夏、法人化して株式会社を設立し、その報告とお礼を兼ねて、わざわざオーナーさんがお越しくださいました。
報告はともかく、お礼はどういう意味かと思えば、私が訪問した際、チャレンジの気持ちを持ってお客さんを絞り込んだらどうか、という話をしたのが方向転換のきっかけになったらしいのです。
そんな話をしたのは忘れていたものの、内容については私自身の経験に基づくものでした。
正直なところ、「買ってくださるなら誰でもよい」というのも間違いではないと思います。
ただ弊社の場合、そこだけはグッと堪えて、雑貨店、花店、洋菓子店に絞り込んだ商品を展開してきました。

オーナーによると、私が薦めた「人本経営」を学んで実践したことも、職場の雰囲気づくりに好影響を与えたそうです。
人本経営は、社員の幸せを一番に考える経営の指針であり、離職率が高かった弊社を救ってくれた教えでもあります。
おかげで「ヘッズさんは職場のムードが明るく、働いている人が楽しそう」と言われるようになったのです。
いずれにしても、私の話がきっかけになってお店が発展してくれたのは、ただただ嬉しく、また目頭が熱くなりました。

◆こぼれ話◆

洋菓子店さんでも絞り込みと人本経営を取り入れて業績を伸ばしているお店があります。
一般的なお店の商品構成が、ザッと生菓子７割・焼き菓子3割なのに対し、そのお店は比率を逆転させています。
弊社もそうでしたが、絞り込みや経営の在り方を変えても、いい形に落ち着いて結果が出るまで数年かかります。
だからこそチャレンジの気持ちが必要になります。