
vol.113石頭をほぐすのも仕事のうち
かつての私は、ある意味、石頭でした。
人を雇えるようになった時点で、自分はプレイヤーからプレイングマネージャーになったと思い込んだのです。
「なった」と思い込んでいるので、マネージメントができていないことになかなか気づかず、社員の定着率の悪さに困り果てていました。
会社を経営するうえで、「~であるべき」といったブレない軸を持つのは大切ですが、その熱心さが視野を狭め、頭を固くしてしまうことがあります。
時には自分の常識を疑うことで、問題解決の糸口を見つけたり、新しい発想につながることもあるのです。
東京で学研ホールディングスの社長の講演を聴きました。
「科学」と「学習」など子供向け教育雑誌で業績を伸ばしていた同社ですが、少子化と出版不況のあおりを受けて10年ほど前に両誌を休刊。
売上がピーク時の半分ほどに落ち込む危機に直面しました。
そこからV字回復を果たした背景には、地道に取り組んでいた新規事業の成功があったそうです。詳細は割愛しますが、その事業は、サービス付高齢者住宅の賃貸をはじめとする福祉事業です。
結果論として、「少子化と対になっている高齢化に着目した」と言うのは簡単ですが、もし学研さんが石頭的な企業だったとしたら、子供の教育という枠の中でしか新規事業を考えられなかったのではないでしょうか。
私が知る繁盛店の中に、ご夫婦だけで営むクッキー専門店があります。
休む間もなく
朝早くから夜遅くまで働きがちなパターンですが、このお店は製造日と販売日を分け、
お店を開けるのは週に2日ほど。
営業時間も11:30~18:00で、早い日は16:00に閉まることもあります。
たとえ営業日が限られていても、おいしいクッキーを求めるお客さんが、その数日間に足を運んでくれるのです。
「休みを減らして長時間営業するのがお客さんのため」という固定概念に縛られていたら実現できなかったはずです。
まさに、石頭では思いつかないユニークな営業スタイルです。
- ◆こぼれ話◆
- プレイングマネージャーの立場でありながら、トッププレイヤーとしての仕事ばかりしている経営者がいます。
見方を変えれば、マネジャーとしての仕事を放棄しているようなものです。
スタッフとの信頼関係を築いて成長を促し、誰に・何を・どう・任せるか。
簡単ではないけれど、まさに、急がば回れ。
あのころの自分に、もっと早く気づかせてあげたかった。
多くのお客さまを訪問させていただいた中で、「スタッフとの関係性をどうしていくのか?」「離職率が高い」という、『人』についてのお悩みをよく耳にしました。
この暮松通信でもたびたびお話しているとおり、私もかつて毎月のようにスタッフの送別会を繰り返していたという黒歴史を経験しています。
そこから『人本経営』と出会い、時に失敗しながらも続けてきた施策や経験の他、同様に人本経営を実践する友人たちの声をまとめた一冊です。
この本が、皆さまのより良い会社経営の一助になれば幸いです。
暮松 邦一

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